稽古納め。
身体が動かないと、理屈に奔る。
されど気を許すとすぐに、おっさんは薀蓄(うんちく)を披露したがる。
自戒しつつ。
先週、少し近づいた気がした。
今週は、1歩前進2歩後退。基本の技も捌(さば)きもこなせない。
軸が立たないとか、上体が固まっているとか、そんな理由なのだろう。
他の参加者も押し並(な)べて今一つだったようだから、寒さなんてのも一因かもしれない。
膝の按配(あんばい)が悪い。地下鉄の階段を降りる際、やっと手すりに掴(つか)まらずに降りられるようになった。それでも肩に力が入って、上体が凝り固まっている。家の急な階段は今でも1段1段降りる。そんな状態で、剣術が出来るのかと、自分のことながら思う。
切落し、剣と剣がぶつかって、それで終わり。全く、初心者レベルで躓(つまづ)いている。
それでも数度うまく行ったことがあって、それは、ゆっくり剣を振った時のことだった。きれいに、豆腐を切るように抵抗なく、剣が落ちる。確認しても、打方はそれまでと同じ様に剣を振っていたそうな。そういうニンジンをたまにぶら下げられるから、やめられなくなってしまう。
剣の振りはゆっくりで良い、ただ他の要素がしっかりと確保されていさえすれば。
剣の速度の優先度は決して上位ではなく、むしろ他の邪魔をする害の方が大きいかもしれぬ故、速く振ってはいけない。要は別の所にある。
されどそれも、身体を柔らかく使えてこその話。