50を過ぎて剣術入門、気がつけば60超え

古武術の稽古日記です。

素振り4 息を詰めること、等加速度運動

息を詰めるという悪いクセがある。

初動に際し息を詰めれば、必ずスピードは殺がれ、気配は察知され、動きはブレる。
柔らかかるべき時に、胸や肩や首の筋肉が強張ってしまうのだから、良いことなど1つもない。
運動音痴など揶揄される人がいるが、そのぎこちなさは、案外こんなことに起因しているかもしれない。

穏やかな呼吸を崩さず、動作を始め、且つ完結できれば最善なのだろうが、実際そんなことが可能なものか、私には見当もつかない。

息を止めて剣を振る。
これしかないとしても、息を詰めずに息を止めるには訓練が要る。

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上記は実は奥が深い。

例えばこんなことがある。
強く剣を振ることを意識している時、ハッと強く息を吐きながら剣を振り下ろしていることがある。

これは可か否か。
多分、不可。

剣術の流派によって、或いは型によって、そういう息遣いで剣を振ることはありうるのかもしれないが、少なくとも今やっている素振りにはそぐわないように思う。

力にまかせた振りは戒められている。
力頼りでは、高が知れているのだという。

代わって、等加速度運動ということが強調されている。

等加速度運動とはどういうものか、私にも良くわからない。
対極にあるものを思い浮かべて、それとの対比で漠然としたイメージを持つのみである。

等加速度運動の対極にある運動とは、それを物理学で何と呼ぶのか私は知らぬが、初動に最大の力が掛かり、後は慣性のままに動き続けるという動きだろう。
野球でピッチャーの投げたボールの運動がそれである。

素振りで言えば、腕の力で振るとそうなる。
振り始めが最大速度で、慣性のまま軌跡を描き、ブレーキを掛けられて止まる。
より速い速度を得るためには、より大きな初動の力が要る訳だから、タメという準備動作が必要となる。

タメてはいけないと何度も指摘を受ける。

振りの速さや力に於いて、等加速度運動がどのような優位さをもっているのか、
気配を消すことに於いて、等加速度運動がどのような優位さをもっているのか、
今は習うより慣れろの段階である。

そもそも等加速度の振りとはどんなものなのか、良くわからないのだから。