50を過ぎて剣術入門、気がつけば60超え

古武術の稽古日記です。

五輪書を読む 水之巻 12 兵法の目付け -2

一 兵法の目付という事 続き

●原文 敵の太刀をしり、聊(いささか)も敵の太刀を見ずといふ事、兵法の大事也。工夫あるべし。ちいさき兵法にも、大きなる兵法にも、同じ事也。目の玉うごかずして、両わきを見る事肝要也。かようの事、いそがしき時、俄かにはわきまえがたし。此書付を覚へ、常住此目付になりて、何事にも目付のかわらざる所、能々(よくよく)吟味あるべきもの也。


一 兵法のものの見方について 続き

○私訳 敵の太刀筋、太刀使いを見極めて、太刀そのものには目を向けないということが非常に大事である。そのためにはどうすれば良いか、各人の工夫が必要である。
個人の剣の争闘の時も、軍を率いて戦う合戦の時も、ものの見方は全く同じである。
目の玉を動かさないで、前を見ながら同時に両脇を見ること、これが核心である。
ここに縷々述べたものの見方は、慌しく展開する実際の場に於いて、付け焼刃で行い得るものではない。常日頃から、このような見方を心がけ、どんな状況に於いてもこのようにものを見るようよくよく研鑽しなければならない。


☆太刀を見て対応すべからずというのは、よく考えれば当然のこと。見てから反応したのでは、単純に間に合わない。(敵の太刀を)知るという言い方が面白い。

目の玉を動かさないで、両わきを見る。なるほど、確かに視野が広がる。