50を過ぎて剣術入門、気がつけば60超え

古武術の稽古日記です。

五輪書を読む

五輪書を読む 水之巻 38 一 おもてをさすといふ事

一 おもてをさすといふ事 (原文) 面 (おもて) をさすといふは、敵太刀相になりて、敵の太刀の間、我太刀の間に、敵のかほを我太刀さきにてつく心に、常に思ふ所肝心也。 敵の顔ををつく心あれば、敵の顔、身も、のるもの也。敵をのらすやうにしては、色々…

五輪書を読む 水之巻 37 一 三つのうけといふ事

一 三つのうけの事 ●原文 三つのうけといふは、敵へ入りこむ時、敵打出す太刀をうくるに、我太刀にて敵の目をつくやうにして、敵の太刀を我右のかたへ引きながしてうくる事、亦つきうけといひて、敵打つ太刀を、敵の右の目をつくやうにして、くびをはさむ心…

五輪書を読む 水之巻 36 一 身のあたりといふ事

一 身のあたりといふ事 ●原文 身のあたりは、敵のきわへ入りこみて、身にて敵にあたる心也。少し我顔をそばめ、我左の肩を出し、敵のむねにあたる也。あたる事、我身をいかほどもつよくなりあたる事、いきあう拍子にて、はづむ心に入るべし。此入る事、入り…

五輪書を読む 水之巻 35  一 ねばりをかくるといふ事

一ねばりをかくるといふ事 ●原文 敵もうちかけ、我も太刀打ちかくるに、敵うくる時、我太刀敵の太刀に付けて、ねばる心にして入る也。ねばるは、太刀はなれがたき心、あまりつよくなき心に入るべし。敵の太刀につけて、ねばりをかけ入る時は、いか程も静かに…

五輪書を読む 水之巻 34  一 たけくらべといふ事

一 たけくらべといふ事 ●原文 たけくらべというは、いづれにても敵へ入込む時、我身のちゞまざるやうにして、足をものべ、こしをものべ、くびをものべて、つよく入り、敵のかほとかほとならべ、身のたけをくらぶるに、くらべかつと思ふほど、たけ高くなつて…

五輪書を読む 水之巻 33  一 しつこうの身といふ事

一 しつかうの身といふ事 ●原文 漆膠(しつかう)とは、入身に能く付きてはなれぬ心也。敵の身に入る時、かしらをもつけ、身をもつけ、足をもつけ、つよくつく所也。人毎に顔足ははやくいれども、身ののくもの也。敵の身へ我身をよくつけ、少しも身のあいな…

五輪書を読む 水之巻 32  一 しうこうの身といふ事

一 しうこうの身といふ事 ●原文 秋猴(しうこう)の身とは、手を出さぬ心なり。敵へ入身に少しも手を出す心なく、敵打つ前、身をはやく入るる心也。手を出さんと思へば、必ず身の遠のくものなるによつて、惣身(そうみ)をはやくうつり入るる心なり。手にて…

五輪書を読む 水之巻 31  一 打つとあたるといふ事

一 打つとあたるといふ事 ●原文 打つといふ事、あたるといふ事、二つ也。 打つといふ心は、いづれの打ちにても、思ひうけて慥(たしか)に打つ也。あたるはゆきあたるほどの心にて、何と強くあたり、忽ち敵の死ぬるほどにても、是はあたる也。打つといふは心…

五輪書を読む 水之巻 30  一 太刀にかはる身といふ事

一 太刀にかはる身といふ事 ●原文 身にかはる太刀ともいふべし。総而(そうじて)、敵を打つに、太刀も身も、一度にはうたざるもの也。敵の打つ縁により、身をばさきへうつ身になり、太刀は身にかまはず打つ所也。若しは、身はゆるがず、太刀にてうつ事はあ…

五輪書を読む 水之巻 29 紅葉の打といふ事

一 紅葉の打といふ事 ●原文 紅葉の打、敵の太刀を打ちおとし、太刀取りなをす心也。敵前に太刀を構へ、うたん、はらん、うけんと思ふ時、我打つ心は、無念無相の打、又石火の打にても、敵の太刀を強く打ち、その儘あとをねばる心にて、きつさきさがりにうて…

五輪書を読む 水之巻 28 石火のあたりといふ事

一 石火のあたりといふ事 ●原文 石火のあたりは、敵の太刀と我太刀と付合ふほどにて、我太刀少しもあげずして、いかにもつよく打つ也。是は足もつよく、身もつよく、手もつよく、三所をもつてはやく打つべき也。此打、たびたびならわずしては打ちがたし。よ…

五輪書を読む 水之巻 27 縁のあたりといふ事

一 縁のあたりといふ事 ●原文 我打出す時、敵打ちとめん、はりのけんとする時、我打一つにして、あたまをも打ち、足をもうつ。太刀の道一つをもって、いづれなりとも打つ所、是縁の打也。此打、能々打ちならひ、何時も出会ふ打也。細々打ちあひて分別あるべ…

五輪書を読む 水之巻 26 流水の打といふ事

一 流水の打といふ事 ●原文 流水の打といひて、敵相になりてせりあふ時、敵ははやくひかん、はやくはづさん、早く太刀をはりのけんとする時、我身も心も大きになって、太刀を我身のあとより、いかほどもゆるゆると、よどみのあるやうに、大きにつよく打つ事…

五輪書を読む 水之巻 25 無念夢相の打といふ事

一 無念夢相の打といふ事 ●原文 敵も打ちださんとし、我も打ちださんと思ふ時、身も打つ身になり、心もうつ心になって、手はいつとなく空より後ばやにつよく打つ事、是無念夢相とて、一大事の打也。此打たびたび出会ふ打也。能々ならひ得て鍛錬あるべき儀也…

五輪書を読む 水之巻 24 ニのこしの拍子の事

一 二のこしの拍子の事 ●原文 二のこしの拍子、我打ちださんとする時、敵はやく引き、はやくはりのくるやうなる時は、我打つとみせて、敵のはりてたるむ所を打ち、引きてたるむ所を打つ、是ニのこしの打也。此書付斗(ばかり)にては、中々打得がたかるべし…

五輪書を読む 水之巻 23 一拍子の打の事

一 敵を打つに、一拍子(ひとつひょうし)の打ちの事 ●原文 敵を打つひょうしに、一拍子といひて、敵我あたるほどのくらいを得て、敵のわきまえぬうちを心に得て、我身もうごかさず、心もつけず、いかにもはやく、直に打つ拍子也。敵の太刀、ひかん、はづさ…

五輪書を読む 22 有構無構のおしへの事

一有構無構のおしへの事 ●原文 有構無構といふは、太刀をかまゆるといふ事あるべき事にあらず。され共、五方に置く事あれば、かまへともなるべし。太刀は、敵の縁により、所により、けいきにしたがい、何れの方に置きたりとも、其敵きりよきやうに持つ心なり…

五輪書を読む 21 表の第五の次第

一 おもて第五の次第の事 ●原文 第五の次第、太刀の構。我右の脇に横にかまへて、敵打ちかくる所のくらいをうけ、我太刀下のよこよりすぢかへて、上段にふりあげ、うへより直にきるべし。是も太刀の道、能くしらんため也。此おもてにてふりつけぬれば、おも…

五輪書を読む 20 水之巻 おもて第四の次第

一 おもて第四の次第の事 ●原文 第四の構、左の脇に横にかまへて、敵の打ちかくる手を下よりはるべし。下よりはるを、敵打ちおとさんとするを、手をはる心にて、其儘(そのまま)太刀の道をうけ、我肩のうへへすぢかいにきるべし。是太刀の道也。又敵の打ち…

五輪書を読む 19 表の第三の次第

一 おもて第三の次第の事 ●原文 第三の構、下段に持ち、ひつさげたる心にして、敵の打ちかくる所を、下より手をはる也。手をはる所を、亦敵はる太刀を打ちおとさんとする所を、こす拍子て、敵打ちたるあと、ニのうでを横にきる心也。下段にて敵の打つ所を一…

五輪書を読む 18 表の第二の次第

一 おもての第二の次第の事 ●原文 第二の太刀、上段に構へ、敵打ちかくる所、一度に敵を打つ也。敵をうちはづしたる太刀、其儘おきて、又敵の打つ所を、下よりすくひ上げてうつ。今一つ打つも同じ事也。此おもての内におゐては、様々の心持、色々の拍子、此…

五輪書を読む 17 水之巻 表の第一

一 五つのおもての次第、第一の事 ●原文 第一の構、中段。太刀さきを敵の顔に付けて、敵と行相ふ時、敵太刀打ちかくる時、右へ太刀をはづして乗り、又敵打ちかくる時、きつさきがへしにて打ち、うちおとしたる太刀、其儘(そのまま)置き、又敵の打ちかくる…

五輪書を読む 水之巻 16 太刀の道

一 太刀の道といふ事 ●原文 太刀の道を知るといふは、常に我さす刀をゆび二つにてふる時も、道すじ能くしりては自由にふるもの也。太刀をはやく振らんとするによって、太刀の道さかいてふりがたし。太刀はふりよき程に静かにふる心也。或は扇、或は小刀など…

五輪書を読む 水之巻 15 五方の構の事

一 五方の構の事 ●原文 五方のかまへは、上段、中段、下段、右のわきにかまゆる事、左のわきにかまゆる事、是五方也。構五つにわかつといへども、皆人をきらん為也。構五つより外はなし。いづれのかまえなりとも、かまゆるとおもはず、きる事なりとおもふべ…

五輪書を読む 水之巻 14 足づかひの事

一 足づかひの事 ●原文 足のはこびやうの事、つまさきを少しうけて、きびすをつよく踏むべし。足づかひは、ことによりて大小遅速はありとも、常にあゆむがごとし。足に飛足、浮足、ふむすゆる足とて、是三つ、きらふ足也。此道の大事にいはく、陰陽の足とい…

五輪書を読む 水之巻 13 太刀の持ちやう

一太刀の持ちやうの事 ●原文 太刀のとりやうは、大指ひとさしを浮ける心に持ち、たけ指しめずゆるまず、くすしゆび・小指をしむる心にして持つ也。手の内にはくつろぎのある事悪しし。敵をきるものなりとおもひて、太刀をとるべし。敵をきる時も、手のうちに…

五輪書を読む 水之巻 12 兵法の目付け -2

一 兵法の目付という事 続き ●原文 敵の太刀をしり、聊(いささか)も敵の太刀を見ずといふ事、兵法の大事也。工夫あるべし。ちいさき兵法にも、大きなる兵法にも、同じ事也。目の玉うごかずして、両わきを見る事肝要也。かようの事、いそがしき時、俄かには…

五輪書を読む 水之巻 11 兵法の目付け -1

一 兵法の目付けといふ事 ●原文 目の付けやうは、大きに広く付くる目也。観見二つの事、観の目つよく、見の目よはく、遠き所を近く見、ちかき所を遠くみる事、兵法の専也。 一 どのようにものを見るかについて ○私訳 どのようにものを見るかと言えば、ゆった…

五輪書を読む 水之巻 10 兵法身なりの事-2 2009.04.02

姿・形について 続き2 ●原文 くびはうしろのすじを直に、うなじに力をいれて、肩よりは惣身はひとしく覚へ、両のかたをさげ、背すじをろくに、尻を出さずに、ひざより足先まで力を入れて、腰のかがまざるように腹をはり、くさびをしむるといひて、脇差のさ…

五輪書を読む 水之巻 9 兵法身なりの事-1 2009.04.01

●原文 一 兵法の身なりの事 身のかかり、顔はうつむかず、あをのかず、かたむかず、ひずまず、目をみださず、ひたいにしわをよせず、まゆあいにしわをよせて、目の玉うごかざるやうにして、またたきをせぬやうにおもいて、目をすこしすくめるやうにして、う…