50を過ぎて剣術入門、気がつけば60超え

古武術の稽古日記です。

五輪書を読む 水之巻 33  一 しつこうの身といふ事

一 しつかうの身といふ事

●原文 漆膠(しつかう)とは、入身に能く付きてはなれぬ心也。敵の身に入る時、かしらをもつけ、身をもつけ、足をもつけ、つよくつく所也。人毎に顔足ははやくいれども、身ののくもの也。敵の身へ我身をよくつけ、少しも身のあいなきやうにつくもの也。能々吟味あるべし。

○私訳 漆膠(しっこう)の身とは、入り身に際し、その文字の通り、漆(うるし)や膠(にかわ)で貼り付けたように敵に付いて離れないことを言う。頭を付け、身体を付け、足を付け、しかも強く付くことが肝要である。
人により、顔や足は速く入れられたとしても、身体は残ってしまうということがありがちである。入り身とは、敵の身体に自分の身体をしっかり付け、少しも空かないようにするものである。良く研究しなさい。

★兵法三十五箇条の28 しつかうのつきと云事 「漆膠のつきとは、敵の身際へよりての事也。足腰顔迄も、透(すき)なく能くつきて、漆膠にて物を付るにたとへたり。身につかぬ所あれば、敵色々わざをする事在り。敵に付く拍子、枕のおさへにして、静成る心なるべし。

☆ここ何段かは身捌きというか、剣を直接用いない技で、この段は前回に続き「入り身」の要諦について。文字面を読んで意味を取るに留める。