50を過ぎて剣術入門、気がつけば60超え

古武術の稽古日記です。

五輪書を読む 17 水之巻 表の第一

一 五つのおもての次第、第一の事

●原文 第一の構、中段。太刀さきを敵の顔に付けて、敵と行相ふ時、敵太刀打ちかくる時、右へ太刀をはづして乗り、又敵打ちかくる時、きつさきがへしにて打ち、うちおとしたる太刀、其儘(そのまま)置き、又敵の打ちかくる時、下より敵の手はる、是第一也。惣別、此五つのおもてのぶんは、手にとつて、太刀の道稽古する所也。此五つの太刀筋にて、我太刀の道をもしり、いかやうにも敵の打つ太刀しるる所也。是ニ刀の太刀の構、五つより外にあらずとしらする所也。鍛錬すべきなり。


一 五つの基本型(表)その1

○私訳 第一の構は中段である。太刀先をを敵の顔に付けて、敵と行きあう。敵太刀が打ちかかってきたら、右へ太刀筋を外しながら乗る。又は、切っ先返しにて打ち返し、打ち落とした敵太刀はそのまま捨て置く。又は、下から敵の手を打つ。これが、第一の基本型(表)である。
総じて、これから述べる五つの基本型(表)は、この書付を読んだだけでは得心が行くものではない。実際に太刀を手にとって、太刀の道を稽古すべき所以である。
五つの太刀筋を修めれば、我が流派の太刀の道を知るだけでなく、また敵の太刀の動きを知ることともなる。我が二刀流の太刀の構えは、五つより外にはないと改めて告げるものである。鍛錬すること。


☆ここからの数段、二天一流の五つの構えに対応する五つの基本型の解説となる。
訳しようがない。スキップするのも憚られるので、文字面を訳すに留める。

「乗る」とはどういう動きなのか、技なのか、不明。
岩波文庫版の脚注には、「乗ると云ふは、引くにもはづすにもあらざる也。切先よりはやく、とつと上にて行きちがふべし」(円朝流剣法書)とある。身の捌きを言っているのか、太刀の捌きなのか。乗じるというようなニュアンスを持つ動きなのだろうか。

「切先返し」というのも良く分からない。
同じく脚注に「我が手を右の首のうへにてかへすべし」(同)とあるから、肩に担ぐような感じで切先を旋回させて打ち下ろすのだろうか。或は、中上段ということか。

分からないついでに言えば、表=基本型と脚注に従って訳しているが、なぜそうなのか良く分からない。辞書にもそれらしき訳し方は載っていない。裏=発展型などがどこかにあるのだろうか。