50を過ぎて剣術入門、気がつけば60超え

古武術の稽古日記です。

五輪書を読む 水之巻 30  一 太刀にかはる身といふ事

一 太刀にかはる身といふ事

●原文 身にかはる太刀ともいふべし。総而(そうじて)、敵を打つに、太刀も身も、一度にはうたざるもの也。敵の打つ縁により、身をばさきへうつ身になり、太刀は身にかまはず打つ所也。若しは、身はゆるがず、太刀にてうつ事はあれども、大形(おおかた)は身を先へ打ち、太刀をあとより打つもの也。能々吟味して打ちならふべき也。

○私訳 太刀使いと身体使いの関係の問題である。身体が太刀に変化するということ。また、身体に変化する太刀もありうる。解説すれば以下の如きものである。
敵を打つに際して、身体を以って打つ体勢を作り、太刀を打ち込む。総じて言えば、身体と太刀と、同じタイミングで同時に打つ(動作を起こす)ということはない。
敵の打ちに合わせて、身体は先に打つ体勢を作る。太刀は、その体勢の如何に関わらずに打ち出すものである。身体を動かさず、従って打つ体勢を作らずに太刀を打つこともあるにはあるが、大抵は、先に身体で打つ体勢を作り、太刀はその後から打ち出すものである。
よく研究して稽古せよ。

☆同じような指摘は前にも出ている。例えば「無念無相の打」参照。
また兵法三十五箇条「身を打様になして、心と太刀は残し、敵の気の間(あい)を、空よりつよくうつ」