50を過ぎて剣術入門、気がつけば60超え

古武術の稽古日記です。

五輪書を読む 水之巻 37 一 三つのうけといふ事

一 三つのうけの事

●原文 三つのうけといふは、敵へ入りこむ時、敵打出す太刀をうくるに、我太刀にて敵の目をつくやうにして、敵の太刀を我右のかたへ引きながしてうくる事、亦つきうけといひて、敵打つ太刀を、敵の右の目をつくやうにして、くびをはさむ心につきかけてうくる所、又敵の打つ時、短き太刀にて入るに、うくる太刀はさのみかまはず、我左の手にて、敵のつらをつくやにして入りこむ、是三つのうけなり。左の手をにぎりて、こぶしにてつらをつくように思ふべし。能々鍛錬有るべきもの也。

○私訳 敵に入り込む際、敵の太刀を受けるには三つの受け方がある。
まず、自分の太刀で敵の目を突くようにして、敵の太刀を自分の右の方に引き流す受け方がある。
次に突き受けという方法で、これは敵の首を挟み込む気持ちで、右目を突く。そのようにして、突いて受ける方法。
三つ目として、短い太刀で敵に入り込む場合には、太刀でどうこう受けようとはせずに、左手で敵の面を突く。左手を握り、その拳で敵の顔を突くようにして入り込むのである。
これが三つの受けであるので、よく鍛錬すること。

☆通常、正眼に構える場合、切先は敵の左目につける(自分から見れば、向かって右の目)。
突き受けの場合、右目(向かって左の目)を突くという。わずか数センチの違いだが、こうすると、敵の首を跨いで、つまり敵の中心線を横切って剣線が構成されることになる。

…と、ここまでは分かるのだが、もっと具体的な動きとなると良く分からない。
一番目の突いて右へ引き流すとは、具体的にどういう動きなのだろう。一旦突き掛けて、身体は入り身しつつ、剣は引くのだろうか?
二番目の突き受けとは、突いたまま剣・体ともに前進するのだろうか?

いづれにせよ、ここでの受けとは、入り身する際の受け(敵の太刀の防御)であって、受け一般ではない。