50を過ぎて剣術入門、気がつけば60超え

古武術の稽古日記です。

五輪書を読む 水之巻 36 一 身のあたりといふ事

一 身のあたりといふ事

●原文 身のあたりは、敵のきわへ入りこみて、身にて敵にあたる心也。少し我顔をそばめ、我左の肩を出し、敵のむねにあたる也。あたる事、我身をいかほどもつよくなりあたる事、いきあう拍子にて、はづむ心に入るべし。此入る事、入りならひ得ては、敵二間も三間もはげのくほど、つよきもの也。敵死入るほどもあたる也。能々鍛錬あるべし。

○私訳 身のあたり即ち体当たりとは、敵の身体ギリギリまで入り込んで、我が身を敵に当てることが肝要である。顔を少し横に向け、自分の左の肩を敵の胸に当てる。当てるに際しては、我が身をできる限り強くして当てる、勢いをつけ、思い切って敵の懐に入り込むのである。この敵懐への入り方を体得できれば、敵が二間も三間も吹っ飛ぶほど強く当たることができる。(当たられて)息も絶え絶えとなるほど強く当たることが肝要である。よくよく鍛錬すべし。

☆半端なことはするな、すれば命取りになるということか。
やるからには、相手が4mも5mも吹っ飛んで、死にそうになる位強くぶちかませということで、そのためには勢いをつけ、思い切って懐深くに入り込むことが要なのだという。

☆武蔵は一つに囚われることを極度に嫌うが、当たるべき時にはひたすら強く当たるべしというのは面白い。