50を過ぎて剣術入門、気がつけば60超え

古武術の稽古日記です。

五輪書を読む 水之巻 29 紅葉の打といふ事

一 紅葉の打といふ事

●原文 紅葉の打、敵の太刀を打ちおとし、太刀取りなをす心也。敵前に太刀を構へ、うたん、はらん、うけんと思ふ時、我打つ心は、無念無相の打、又石火の打にても、敵の太刀を強く打ち、その儘あとをねばる心にて、きつさきさがりにうてば、敵の太刀必ずおつるものなり。此打鍛錬すれば、打ちおとす事やすし。能々稽古あるべし。

○私訳 紅葉の打ちとは、敵の太刀を打ち落とし、以って仕切り直しを図るものである。
敵前に太刀を構えて、打とう、張ろう、受けようとする。この時、無念無相の打ちでも、石火の打ちでも、敵の太刀を強く打つことが肝要である。更に、打った後粘る気持ちで、即ち打った後簡単に太刀を引かず、敵の太刀に我が太刀を付けたまま我慢する気持ちで、しかも切先を下げて打てば、敵の太刀は必ず落ちるものである。
この打ちは鍛錬すれば、容易に敵太刀を落とせるようになる。よく稽古すべし。

☆簡単にスゥッと読めそうな時こそ怖い。

「太刀取りなをす」とはよく分からない。(不利な)状況をリセットして、間合いなど取り直す、太刀を構え直す位のニュアンスだろうか。仕切り直しを図るとしたが、ここが違えば以下も大きく異なると思う。

打ち落とすと言っても、文字通り手から太刀を叩き落す(太刀を地面に転がす)のではなく、敵の太刀を死に体にする(中心から外して無力化する)という程の意味だと思う。

これは一刀流の切落としとは異なるようで、払いという技に近いかもしれない。