50を過ぎて剣術入門、気がつけば60超え

古武術の稽古日記です。

五輪書を読む 21 表の第五の次第

一 おもて第五の次第の事

●原文 第五の次第、太刀の構。我右の脇に横にかまへて、敵打ちかくる所のくらいをうけ、我太刀下のよこよりすぢかへて、上段にふりあげ、うへより直にきるべし。是も太刀の道、能くしらんため也。此おもてにてふりつけぬれば、おもき太刀自由にふらるる所也。
 此五つのおもてにおゐて、こまかに書付くる事にあらず。我家の一通太刀の道をしり、亦大形拍子をも覚へ、敵の太刀をみわくる事、先ず此五つにて、不断手をからす所也。敵とたたかいのうちにも、此太刀筋をからして、敵の心を受け、色々の拍子にて、いかようにも勝つ所也。能々分別すべし。


○私訳 第五の構は右の脇に構える。敵の打ちかかってくる太刀を受け、受けた自分の太刀を下から横に切り替えて上段に振り上げ、上から切り下ろす。これも太刀の道を知るための方策である。この形に振り慣れれば、重い太刀も自由に振れるようになるものである。
 これら五つの基本形について細かく書き付けることはしない。我が流の太刀筋を一通り知り、また拍子も大方のところを覚え、敵の太刀筋を見分けられるようになるにも、日頃から、この五つの基本形について技を磨くことが重要である。この太刀筋に習熟すれば、敵の心を受けて、色々な拍子をもってどのようにも勝つことが出来る。良く肝に銘じること。


☆今日で云う脇構えなのか、八相なのか。でもどちらでも良いのかもしれない。
一旦受けてから切り返すのだろうが、具体的にどんな風に捌くのかはこれだけでは良く分からない。

次項で構えなど無いと言い切っている位だから、(敵の存在を捨象して、つまりこちらの都合だけを考えて)この構えではこう動くべしと型を覚えるが如く習うのは彼の本意では無さそうだ。
一通りを知り、大方を覚えることは必要だが、その後、良く鍛錬して太刀筋を自分のものとすることこそ肝要である。そう繰り返し述べている。