50を過ぎて剣術入門、気がつけば60超え

古武術の稽古日記です。

雑談

急病を得てしばし療養していた。
実際は療養というほど大げさなものではないが、それでも週の単位で仕事を離れた。二十数年ぶりのことだ。

その二十数年前の記憶では、病院ではゆっくりと時間が流れる。
午前に二つ、午後に三つ程度のイベントがあり、つまりそれは検温だったり回診だったりするわけだが、それだけで一日が終わる。
一日にやることはそれだけ。後はただ時間だけが過ぎる。
時間の流れが遅くなるというより、時間の密度がとても希薄になる。薄い時間を、ただ横になってやり過ごす。明らかに娑婆とは別の世界となる。
それでも、次第にそのリズムや密度に体が馴染み始めるから、例えば僅か10分ほどの面会でも、この病院の時間を乱されると疲れる。娑婆の濃い時間は大儀だ。

今回もそういう風に過ごすものだと思っていた。
この年になって、なにがしかをリセットするにはそれも悪くないなと、密かに期待する気分もあった。
が、期待はあっさり裏切られ、悲しいかな病院の時間に慣れる前にばたばたと検査も治療も終わって退院させられてしまった。
それは病状が軽かった故だろうし、良い事であって、まぁ、幸いにもというべきなのだろうが。

肩すかしではある。