50を過ぎて剣術入門、気がつけば60超え

古武術の稽古日記です。

水撃三千里

音痴

音痴と言われる人がいる。 歌を歌うと音程を外したり、リズムが狂ったり。そういう人は確かに居る。 だが、音程を外したり、リズムを狂わせたりするから音痴なのだと言うのは間違いではないが、正確な言い方ではない。 何故なら、音程を外したり、リズムを狂…

汗を流すのは気持ちが良い

去年の10月だからもう2年になる訳だが、大病をして何度入退院を繰り返したか、自分でもいちいち数えてみないと分からない。仕事も稽古も月単位で休んだり、半日病院に通ったり。今も合気道は様子を見て遅刻したり、欠席したりしている。 と言うと、何やら…

事故のこと。身体に謙虚になるべきこと。

1月の終わりに交通事故を起こした。 単独事故。運転中に意識を失った…失った原因は幾つか推定されるが、未だ特定するには至っていない。乗っていた車は大破した。幸いなことに、巻き添えになった車も歩行者も居なかった。私自身が受けたダメージも打撲程度…

いつのまにか

50を幾つか過ぎて武術を始めた訳だが、この間60を迎えてしまった。 ふと、いつまで出来るのかなと思う。 70、80を過ぎても、障碍が無ければ稽古は続けられるだろうし、そうする積りではいる。 だが、いつまで未熟者として新しい課題を追えるのか。 …

殺人刀と活人剣

殺人刀(せつにんとう) と 活人剣(かつにんけん・かつにんとう) という言葉がある。 有名な言葉だから、耳にしたことがある人も多いと思う。柳生新陰流の「兵法家伝書」に載っているから、新陰流の用語かもしれないが、広く援用される一般的な語であるの…

雑談

急病を得てしばし療養していた。 実際は療養というほど大げさなものではないが、それでも週の単位で仕事を離れた。二十数年ぶりのことだ。 その二十数年前の記憶では、病院ではゆっくりと時間が流れる。 午前に二つ、午後に三つ程度のイベントがあり、つまり…

合気道はやりやすい?

武道やスポーツにほとんど縁がないままアラフォーを過ぎ、或いはそのままフィフティーを通り越して、初めてなにか身体を動かすことを始めようとと思い立ち、どうせなら護身術も兼ねてなにか武道がいいと考えた時、なんとなく緩そうな合気道を候補に考えた人…

体の落下

「日本古来の武道の動きを 柔 (やわら) と呼ぶならば、柔 とは体 (たい) の落下のエネルギーを使う動きであり、下半身の役割は落下する体を支えることにある」 先生の言である。解説はできない。師の言や、墨守すべきということもあるが、それ以前に、解説で…

地面を蹴らない 3

ロンドンオリンピックで、女子柔道の松本選手が金メダルを取った。 決勝戦での決め技は、確か大内刈りだったと思う。 翌朝の新聞(毎日新聞)の1面に、技を掛けた瞬間の写真が載っていた。 その写真を見て、「さすが」と感心したことがある。 左足1本で立…

地面を蹴らない 2

地面を蹴らずに、急激な方向転換を行うにはどうすれば良いのか。 …肩すかしのようだが、実は私にもよく分からない。 初め、「半身(はんみ)の緩み」などを使えば良いのかと漠然と且つ安直に考えて、この話題を取り上げたのだけれど、さて詳述しようとすると…

地面を蹴らない 1

「日本古来の体使い」に関心がある。 剣術も体術も、そういう身体の使い方を身に着けて初めて、ものになると思っている。幸い、当会は声高には言い立てぬが、古来の体使いを踏襲している。曰く「力抜き」、曰く「気を通す」、曰く「軸を立てる」「身を入れる…

贅沢なこと

3時過ぎから9時まで稽古して、家に帰って暖かいソファーに坐ったら、そのまま眠ってしまった。くたびれていたのだ。 小1時間して居眠りから覚めて、何だかとても贅沢なことをしていると幸せな気持ちになった。 ちょっと居眠りして、気分がサッパリしたと…

機能不全

今回は少し脱線する。 区立の体育センターを借りて稽古をしているのだが、7、8、9月の土日と夜間は節電のため体育センターを休館とするそうだ。 愚かな対応であると思う。 少なくとも私の大嫌いな種類の反応であって、日本の役人、または組織のレベルはこ…

無欲を以って見る 見る5

(続き) 第1章の私訳は以上。 で、「見と観」との関連を図式的に表せば、 「見」に相当するのが、「欲を以って見る」見方であり、そうして得られるものは「徼」、 「観」に対応するのは、「無欲を以って見る」見方であり、得られるものは「妙」となる。 (…

妙と徼 見る4

目を凝らして見る、目を細めて曖昧に見る。 これはどこかで聞いたことのある話だなとずっと感じていました。 で、最近別の本を読んでいて、あぁこれかと気付いたのが以下の話です。 ◆ (面倒なら引用部分はスキップしてください) 老子 第一章 道可道、非常…

観と見 その2・見る3

さて、これは流派の解説書ではないし、剣術の研究書でもない。 正しいことを書く必要は無く、面白いと思ったことを書き留めれば良いという初心に帰って、改めて。 ◆ もう暫く「観と見」の周りをウロウロします。 宮本武蔵です。 武蔵に依れば、「目の付けや…

素振り ・見る2

「見と観」というのは、何か神秘的な秘儀とか奥義といったものではなく、ごく初級の段階から夫々のレベルに応じて身につけるべきもののようです。 ◆ 素振りの稽古に次のようなものがあります。 2人1組になって、剣を振っても当たらぬ間合いで向かい合いま…

見と観 ・見る1

しばらく「見る」という事について考えます。 「見る」から始まって、ものの捉え方辺りまで話が広がれば良いのですが、腰砕けに終わるかもしれません。 ◆ 「目付け」という言葉があります。 敵と相対した時に、どのようにして敵を見るか、敵を目で捉えるかと…

茨城の日帰り温泉で

そう言えばと、以前に体験したことを思い出しました。 いや、順番で言えば、そんな体験があったからこそ、「盆踊り」の描写に惹かれたのかもしれません。 下記はその体験をまとめたもので、このブログにかつて載せたものですが(現在は非公開)、適宜加筆修…

滑るが如く足を出す

日本人の伝統的な身ごなし、身体使いを、現代の我々は既に失っている。 失いかけているではなく、既に失っている。 しかも、何をどう失ったのかすら知らない。 そうして現在、我々の身体の動かし方は、西洋的な身体使いに置き換わっている。 そう考えていま…

口上

口上 古武道の剣術を始めて3年になろうとしています。 剣道ではなく、古流の兵法で、一刀流剣術です。 これまで「稽古日記」と題して日々の稽古メモを記してきたのですが、それは文字通り稽古のメモ。そのように内容を限定したつもりのものです。 と言うの…