流派の技以前の基本動作レベルの話である。
「相手の剣に入ること」、「中心を取ること」そして「三角を意識すること」。
この三つを聞かない日はなく、これらが要諦らしい。
どれも一筋縄ではいかないが、中でも「三角」は取っ掛かりすら摑めない。
毎回、出来ない・わからない話ばかりで恐縮だが。
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相手が真っ向から打ち込んでくる。それを剣を横(斜め)にしてしっかり受け止める。
その時、自分の胸と互いの剣の交点と相手の胸とで三角形ができる。
この三角形を使って、相手を制するまたは崩すのである。
使い方には色々なバリエーションがあるが、基本は全て同一である。
剣と剣がぶつかって押し合えば、誰がどうやったって三角形は形作られる。
夫々の胸と剣の交点、その自然に生じた形態に「三角」という名称を与えたに過ぎない。
だが、この三角形の形を意識的に利用して相手を制しようとすると話は全くの別物になる。
そのまま切り落とせば、相手を崩せる。
中心を取って、そのまま相手の首筋に切り込むこともできる。
相撲のいなしのように、体を逃がしてから打ち込むこともできる。
片手で相手の柄を摑んで、引き落とすこともできる、等々。
いずれも三角を利用して相手を制した後の技である。
長くなるので、以下次号。