50を過ぎて剣術入門、気がつけば60超え

古武術の稽古日記です。

五輪書を読む 水之巻 5 兵法心持の事

一 兵法心持の事

●原文 兵法の道におゐて、心の持ちやうは、常の心に替る事なかれ。

○私訳 武士にとっては、剣の争闘に於いても合戦に於いても、日常の心のあり方に取って代わる特別の心の持ち方がある訳ではない。

☆常の心、平常の心のままに争闘に臨めという所で納得してはいけない。分かった気になってはいけない。
それは、大事な事の最初の1つであって、続きがあると思う。

大事な事の続きとは、争闘の場にも適用されるべき、常の心、平常の心とはどういうものか、その中身である。
あるべき心持ちを、常に於いて持ち、そのまま争闘の場にも臨むべしと言っているのだと私は思う。

考えて見ればよい、例えば怠惰な心持ちで怠惰な日々を送っていたとして、その怠惰な心持ちのまま争闘に臨めばどういう結果になるか。争闘用の気構えなどないと断じるのならば、逆に日常を、争闘に耐える心持ちで送る以外に無いではないか。

所謂「平常心」なる言葉の本当の意味は、平常の心を持って争闘に臨めではなく、逆に、争闘に耐え得る心を持って平常を送るべしという事だと私は思う。それを持ってまた争闘に臨む以外に無いのだから。